Last Up date 1997/8/20
パソコンがわからない初心者が多いのはマイクロソフトのせいだ!
著・那須 麓秋葉原に事務所があるので、知り合いのパソコン購入の相談に乗ることが結構多い 。先日もH君がパソコンを買いたいというので、MMX166アプティバとエプソンのカラリオ(プリンター)の組み合わせで安い店をみつけてあげた。
製品が届いた翌日のH君からの電話。
「マニュアル通りにやっているのにプリンタードライバーが組み込めないんですよ。 どうしてでしょうかね」
「プリンターに付属しているCD-ROMを入れて、そのドライブを指定する必要があるんだけど、ちゃんとやった?」
「やったと思うんですけど……」
そこで、H君の自宅に出向いてどんな状態か見ることにしたのだが、確かにドライバーディスクを入れてもまったく設定できない。そんなバカなと、ディスクの中を探してみたのだがどこを探してもドライバーらしきものがない。私もあせって、何度も試行錯誤したのだがどうやっても設定できない。
「もう一枚ディスクが付いていたんですけど」
とH君は言うが、そのディスクを見ても「ユーティリティ」とか「カレンダー」とか書いてあるもので、「プリンタドライバ」と書いてあるのは今入れているほうだ。
「あれっ、そういえばいま画面にカレンダーというフォルダーが出ていたな。ひょっ としたら……」
ということで、ディスクを入れ替えてみたら、そちらがプリンタードライバーのディスクだった。つまり、ディスクに印刷されているレーベルが完全に入れ替わってい たのである。
「これでは、設定できないのは無理もない。初心者は絶対にできないよ」
カラリオといえば、莫大な費用を掛けていまものすごい勢いで宣伝している製品である。それがこんな不親切な、初歩的なミスをした製品を平気で出荷しているわけだ。
これに類したことは、いまコンピュータ業界では頻繁に起こっているように思う。エプソンにしても、イメージ作りのための宣伝費には莫大な金をつぎこむが、多分その数百分の一(数千分の一)のコストを掛けさえすれば防げるはずの初歩的な部分のお金をケチっているのである。ここにあるのは、とにかく売っちゃえば勝ち、買った人がちゃんと使えようと使えまいと知ったことではない、というメーカーの姿勢である。
こうした姿勢のもっとも顕著な会社は、私はマイクロソフトであると思う。ウインドウズにしても、ワードやエクセルにしても、付属のマニュアルとヘルプだけで使える人などほとんどいないだろう。市販の解説本を買わなければ絶対にちゃんと使えないのである。すなわち、マイクロソフトはプログラムを作ることには熱心で巨額の開発費を掛けているのだが、その機能を誰もが簡単に使えるようにするためのマニュアル類にはほとんどコストを掛けていない。その部分は外部の出版社にまかせているのである。
ユーザーの立場で言えば、お金を出してソフトを買う以上、その使い方はすべてちゃんとわかるようになっているのが当たり前というのが常識ではないだろうか。少なくとも数年前まではソフトと同時に解説本を買う人などほとんどいなかった。私が思うに、マイクロソフトがあの莫大な利益のほんのわずか(1〜3000万円程度)をマニュアル開発費(もちろん印刷代などの売れれば売れるだけ増える経費は別)に掛ければ、飛躍的にわかりやすいマニュアルができ、ユーザーは断然便利になり、ソフト自体もより有効に活用されるはずだ。
マイクロソフトのもう一つの罪は、ウインドウズをはじめとする種々のソフトで使われている用語をちゃんとわかりやすい日本語にすることを怠っていることである。だいたい「プロパティ」なんていわれて、何らかのイメージができる日本人がいるだろうか。「インストール」「デバイス」「パフォーマンス」「セットアップ」「インポート」「エクスポート」「テーブル」「クエリー」「フォーム」などなど。日本語化すればもっと多くの日本人がパソコンに親しめるのに、その努力を怠っているのは、マイクロソフトの日本法人の感覚が日本人として鈍感であるからだとしか思えないのである。
さて、前述のH君のパソコン設定の続き。
「このマイクロソフトプラスというのを入れたいんだけどそのディスクがどこにもないんですよね」
「ちゃんとマニュアル読んだ? そのとおりにやればいいんだよ」
「でも……」
プラスのマニュアル(数ページのわかりにくい解説書)には、コントロールパネルの 「アプリケーションの追加と削除」でセットアップしろと書いてある。そして「アプリケーションの追加と削除」を開けると「フロッピーディスクかCD-ROMを入れろ」という趣旨のことが書いてある。しかし、確かにディスクはどこにもないのだ。
「おかしいなあ。ディスクが欠品になっているのかな」
念のため、「plus」でファイル検索を掛けてみたら、なあんだ、すでにセットアップ用のファイルはパソコンの中に組み込まれていたのだ。そのフォルダーを開けてセットアップをクリックすればそれで完了。しかし、その解説はどこにも書かれていない 。マニュアルだけを読んで組み込みをしようとした初心者は永久にプラスを使えないだろう。
日本のパソコン業界は、明らかに初心者ユーザーの側を向いていない。わからない奴は買うだけで使うな、といっているようなものだ。多額な宣伝費で広告代理店にぼろ儲けさせている金の一部を、親切な製品にするための開発費に回せばいいだけなのに。
私の会社で今回OCNエコノミーを引いて、ルーターにMN−128SOHO/dsuを購入して設定したのだが、マニュアル通りにやってもどうしても使えない。話し中のユーザーサポートに30回くらいダイヤルし続けてやっと担当者をつかまえたが、それでもつながらない。結局私は貴重な時間を3日使ってそれでもつながらないので、サポートで怒ったら、「このコマンドを入れるとISDN機能は使えなくなりますが」といって隠しコマンド(AT*B0)をやっと教えてくれた。これでなんとかつながるようになったわけだが、この機械のマニュアルのOCN対応の部分はとんでもなく不親切 。
日本のコンピュータ業界に言いたい、もっと一般ユーザーを大切にせよ!(ひょっとして、あなたたち證券会社みたいに一般ユーザーのことをドブとか言ってるんじゃない?)。
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